「ソラミミ×DIAMOND」という奇妙な創作物

もし自分に詩人としての活動の場が与えられていたら、「ソラミミ×DIAMOND」や、「ユトレピアの伝説」なども、できていなかったかもしれない。

詩人としての活動の場が与えられていたなら、まっとうに詩だけを書き続けていたか。とは言え新人になった当初(補記※2009年にユリイカの新人に選ばれた当時の事)ですら、それで満足できるには程遠かったから、次の活動場所を求めてそっちの方でやっていくことになっていったわけだった。

それでももう少しでも詩を書く機会が与えられていたら、自分の作品もまた違う様相になっていたかもしれない。詩を書く機会が与えられないなら、という思いが、じゃあ自分はこうして表現するという思いとなって、それが「ユトレピアの伝説」やそれに至るまでの作品になっていった。そこには詩を詩として(詩という形で)表現できない(しても発表の場も与えられない)という反動の力があったと言えると思うので。

 

「ユトレピアの伝説」などは、そういう要素もあったにしても、それでも元々がゲームとして作ったものであり、ゲーム制作が自分の表現という方向になってきての創作であるわけだけど、

「ソラミミ×DIAMOND」に関しては、元々が詩と同じ言葉のみの表現としての創作であり(※ノベルゲーム版の前に小説が原作として存在)、詩壇という場所に自分の表現の場所が与えられないなら、自分はその反対のもっと華やかな世界でこそ表現の場を与えられるようになってやるという思いで、(『蒼空のフロンティア』で得た経験を生かそうというのもあったけど)ライトノベルの世界へいこうという思いで書いたものであり(実際ラノベの賞に送った結果はほぼ惨敗だったけど)、ここには強い反動の力というのか歪んだ力が働いていたと思う。

「ソラミミ×DIAMOND」はライトノベルにはなり得ていないと思う。

もし詩を書く機会と場所を与えられているなら詩を書いていたであろう詩人がそれを与えられないためにじゃあライトノベルを書いてやんよというつもりで書いた(いや勿論それだけじゃというかそれがメインではないけど)ラノベまがいの詩まがいの、なんなんだろ。

 

※その後、パッケージ版をイベント・通販サイト等で販売(補記:2017年)